平成17年4月1日に、佐久市、臼田町、浅科村、望月町の合併により誕生した「新佐久市」は、令和7年4月1日に20周年という大きな節目を迎えました。この20年間は、旧市町村それぞれが培ってきた個性や伝統文化を尊重し合いながら新たな“佐久市”らしさを共に創り上げてきた挑戦の歴史です。
「新佐久市」は、市民の皆様と歩んできた20年を振り返り、佐久市の魅力を再認識し、佐久市に住むことに誇りを感じられるよう、市民の皆様や事業者の皆様と連携しながら、新佐久市誕生20周年記念事業を展開してきました。
この記念事業は、令和6年8月に開催した大相撲佐久場所のプレイベントを皮切りに、令和7年9月まで約1年間にわたり実施してきました。佐久市民の日である令和7年3月9日には新佐久市誕生20周年記念式典を挙行し、1,200人を超える市民の皆様に参加いただきました。そして、記念事業を締めくくるクロージングイベントとして9月28日に開催したグランドフィナーレでは、姉妹都市であるエストニア共和国サク市から「トゥルヤック混声合唱団」が来日し、伝統的な婚礼歌を中心に美しいハーモニーを奏で、来場した多くの市民の皆様の心を魅了しました。また、女性活躍トークセッションや大切な誰かへ思いを届けるはがきのタイムカプセルなどのイベントを行い、記念事業のフィナーレを飾りました。
記念すべきこの年を、私たちは過去を振り返るだけではなく、さらなる発展に向けた新たなスタートラインと位置づけます。
現在、佐久市が注力している施策の一つに「女性活躍推進パッケージ」があります。以下、女性活躍推進パッケージの3本柱「佐久平女性大学」「Cosmosta+(コスモスタプラス)」「わたしたちの月3万円ビジネス」をご紹介します。
女性活躍が佐久市の「6つ目の卓越性」となるために~教育哲学と人が築く地域の未来~(佐久平女性大学)
(人権同和課)
1. 環境がもたらした5つの卓越性から、人が築く「第6の卓越性」へ
人口減少と高齢化が進む佐久市において、地域活力を維持・向上させる鍵は、女性の持つ「潜在的な知恵と活力」の最大限の引き出しにあると考えました。
佐久市には①首都圏とのアクセスの良さ、②日照時間が長い、③熱帯夜がない、④医療の充実、⑤災害リスクが少ないという5つの「卓越性」がありますが、私たちは次に、女性が社会の一員となり新たな価値を生み出していく「6つ目の卓越性」を担うべきだと位置づけました。
佐久平女性大学は、単なるスキルアップではなく、地域課題を解決し新たな価値を創造するアイデアを女性たちが自ら発見し、発信、発揮していくための土壌づくりとして開講しました。これは、佐久市の未来を創るための社会づくりへの長期的な投資です。

2. 未来の地域変革者を育む3つの柱
本学の教育プログラムは、女性が、誰かからの制限を受けず、自らの思いにじっくり向き合うこと、そして生きる目標を忘れず、地域や社会のために生き続ける力を育むことを理念に掲げています。これが一つ目の柱である「生涯就業力」です。
二つ目は、企業との連携によるフィールドワークや、「心理的安全性」の保てる場では一人ひとりの力がより効果的に発揮できることを実感するワークなど、本学オリジナルの講座です。
そして三つ目は、受講生が周囲の人々を巻き込むことで、共有・共感、対話をする時間を大学の講座以外でもすすめ、発言できる環境を体験し、周囲からの応援を実感する「エンカレッジ教育」です。
これら三位一体の教育を通じて、女性の主体的な社会参画を促します。
3. 「コミュニティ・アンカー」を見据えた少人数教育と、対話で築く強いネットワーク
本学が定員を絞った少人数制(20名)にこだわる理由は、受講生同士が深い議論や内省を重ねる「対話の場」を確保し相互を認知し理解すること、また、講師から受ける学びが「自分のために語りかけられている」と実感し、それに呼応する講座形態を大切にしたいと考えたからです。受講生間にも、肩書きや世代を超えた心理的安全性が確保された新しいコミュニティが形成されます。
本大学が見据えるリーダー像は、トップダウン型ではなく、地域社会の結節点として周囲を巻き込み、多様な意見を繋ぐ「コミュニティ・アンカー」とも言えます。これは、自分の専門分野だけでなく、地域全体を俯瞰し、異なる分野を繋げられる人材です。彼女たちは、自らの社会参画だけでなく、地域に「女性が活躍できる空気」を醸成する媒介者となり、その意欲と行動力は地域全体の変革を加速させる「乗数効果」を生み出します。
4. 意欲のたかまりを成果に。活躍を地域全体で支える「応援文化」の推進
修了生からは「自分の本心に気づけた」「地域への貢献意欲が高まった」といった、マインドセットの変化を示す声が多く寄せられています。目に見える具体的な成果に加え、「意欲の高まり」という定性的な成果が、彼女たちの社会参画を持続可能なものにします。
本学は、高度なスキル習得を外部委託に頼るものではなく、佐久市が主導権を持って直接実施することで、行政の教育に対する哲学と本気度を反映しています。これにより、比較的低予算(令和7年度予算586.9万円)で、質の高い教育を実現しています。
本事業の成果は、女性自身の成長に留まらず、受講生の意欲を家族や職場が応援する文化(誰もがその活躍を喜び、支援する地域社会の雰囲気)を社会全体に広げることです。
佐久市は今後も「第6の卓越性は女性の活躍である」と誰もが語れる、そして女性の活躍が、地域全体の利益となる「当たり前の文化」として根付くよう、この推進役を担い続けます。
佐久市デジタル人材育成事業「Cosmosta+」が拓く未来
(情報政策課)
1. 女性活躍推進とデジタル人材育成の喫緊性
人口減少が進む現代社会において、地域社会の活力を維持し、課題を解決するために、デジタル人材の育成・確保は喫緊の課題となっています。他方、コロナ禍で顕在化したように、女性は非正規雇用の割合が高く、子育てや介護の多くを担う現状から、就労に制約が生じやすい構造的な課題が存在している状況です。
このため、佐久市は、今後成長が見込まれるデジタル分野において、時間や場所にとらわれず多様な働き方の実現を目指すことがひとつの解決策と捉え、「女性活躍推進パッケージ」の重要な施策のひとつとして本事業「Cosmosta+(コスモスタプラス)」を実施しています。
この事業では、子育てや介護を背景に離職中・非正規雇用である女性を中心に、経験の有無や経済状況に左右されることなく、自身にあった働き方を選択できるよう、デジタルスキル習得から就労まで支援し、女性の経済的自立や多様な働き方の実現を目的としています。

2. IT未経験者を就労へ導く一貫した支援体制
本事業は、単なるスキル習得に留まらない、育成から就労までの一貫した支援を特徴としています。
スキルを習得する講座では、現地開催のOJT重視型講座の「IT基礎スキルコース」と、専門スキルを身につけるオンライン型講座の「SAPコース」、「WEBデザインコース」の3つから自身にあった講座を選択できます。各コース、ITスキルを伴走サポートによる実践形式の講座で身につけるとともに、コミュニケーションスキルをはじめとしたビジネス基礎力や自己理解を深めるキャリアプランニングなど、就労に直結するスキルを多角的に習得します。
就労へ向けた支援では、面談を通じてキャリアイメージの構築を促すとともに個別相談を実施し、自立的なキャリア形成をサポートするとともに、集合研修やコースの垣根を超えた全体交流会を通じて、マインドセットや仲間づくりにつなげ、意欲の向上とコミュニティ創出を図り、就労に結び付けます。
受講生からは、「将来に向かって前向きに挑戦しようという明るい気持ちになった」 、「同じ境遇の仲間に出会えたことに感謝している」といった声が寄せられ、自己肯定感が高まり、就労への意欲が向上するといった効果も生まれています。
3. 着実な成果と顕在化する潜在的労働力
令和5年度から実施している本事業は、毎年多くの参加申込があり、参加者からは、「子育てしながらの就労にハードルを感じていたため、柔軟な働き方にとても興味があった」や「育児が少し落ち着いたので新しいキャリアにチャレンジしたい」などの声が多く寄せられ、子育て世代を中心に継続的なニーズの高さが伺えます。
令和5年度は25名、令和6年度は48名の合計73名が講座を修了し、このうち約8割が新たな就労を実現しており、着実な成果が出てきています。
就労先は、市内のIT企業への就職のほか、企業基幹系システムの運用保守、クリエイティブ系業務の個人請負など多岐にわたります。受講者からは「働き方の選択肢が増えました」という具体的な成果に加え、「就労へチャレンジする自信がつきました」や「子育てで社会から取り残されていたが社会参加・就労でき、参加してよかった」といった前向きな声が多く、就業に対する不安が払拭され、キャリア形成に積極的にチャレンジできるようになったことにより、地域に潜在していた労働力の顕在化につながっています。
また、受講者の約半数は市外からの移住者であることも特徴的で、「移住定住の促進」や「シビックプライドの醸成」への効果も大きいと考えており、「暮らしやすさ」を向上させ、「選ばれるまち」となるための重要な事業となっています。
4. 官民連携による地域での活躍の場の創出
この事業により育った人材が地域で活躍できるよう、地元企業との連携にも取り組んでいます。地域資源の強みを生かした産業の創出と育成を行うSOIC(佐久産業支援センター)と連携して、中小企業のDX推進支援業務に取り組む卒業生が複数名誕生するなど、活躍のフィールドが増えてきています。
また、自治体業務のBPO(業務の外部委託)にも取り組んでおり、市役所の基幹業務の一部を市内のIT企業に委託し、当該企業にて「Cosmosta+」修了生を雇用することで、行政が主体となった新たな雇用の創出に繋げています。
令和7年度からは、「Cosmosta+応援企業」という取り組みを開始し、本事業に関心を持った企業を応援企業として登録し、受講生との交流会や企業説明会の実施につなげており、今後の就労への足掛かりとなっています。
この取組を通じてスキルを習得した意欲ある人材が、地元企業における雇用や業務委託といった形で地域に定着し、活躍する好循環をさらに拡大していきたいと考えています。
自分と社会を幸せにする「わたしたちの月3万円ビジネス」
(商工振興課)
1. 「自分にも社会にもいいこと」で愉しく稼ぐ
「わたしたちの月3万円ビジネス」は、ライフステージの変化に伴う制約を受けやすい女性が、月に3万円稼ぐビジネスを生み出すことで自分らしく活躍する場を創出するため「佐久市 女性活躍推進パッケージ」の施策の1つとして推進する事業です。
女性が自身の長所や本当にやりたかったことを生かし、「自分にも社会にもいいこと」をテーマに、無理のない範囲で月3万円を愉しく稼ぐという、従来の起業・創業とは異なる新たな視点で小さなビジネスを展開します。これにより、女性が地域でいきいきと活躍できる社会の構築を後押しすることを目的としています。

2. 実践型の講座によるビジネスの創出
「わたしたちの月3万円ビジネス」は、全6回の講座で構成されます。魅力的なビジネスの生み出し方やビジネスの魅力の伝え方などを、受講する仲間とのワークショップやグループセッションをとおして学び、最後の第6回講座では、実際に一人ひとりが地域のマーケットでお店をかまえるという流れとなります。
この講座では令和5年から過去2年間で、1期生11名、2期生9名、合計20名が講座を修了しました。多くの受講生が自身のビジネスを継続し、修了生からは、地元野菜で作るカレーや身体に優しいマフィンの販売、自家焙煎のコーヒー店、着物リメイクの小物販売など、個性を生かした多様なビジネスが生まれています。そして事業3年目である今年は、講座修了生が主催するイベントで、3期生10名が自分たちのお店をかまえました。
3. 講座からビジネス、そしてコミュニティへ
本事業の最大の特徴は、講座修了後にも仲間と集い、自身のビジネスを継続できる点にあります。過去に講座を受講した卒業生たちが集まり、地域でマルシェを開催したり、イベントでの出店を行うなど、自身にあったペースでビジネスを継続しています。受講生からは、「地域のイベントに呼んでもらえるようになった」、「人とつながる大切さに気付きを得ることができ、自分のビジネスも進めやすくなったと感じた」、「好きなことでビジネスをしたいと思っていたので、背中を押してもらえた」といった声が寄せられ、単なるビジネス創出の場に留まらず、卒業生同士が新たな協働を生み、地域で新たなつながりをもたらす活気の基盤にもなっています。
4. 「やりたい」を「地域のちから」に
修了生たちは、講座で得た仲間とつながりながら、自分と社会を幸せにする小さな仕事を地域で実践しています。佐久市は本事業をとおし、女性一人ひとりの「やりたい」を地域の「あったらいいな」につなげ、持続可能でいきいきとした地域づくりを引き続き推進してまいります。
以上、佐久市が取り組んでいる「女性活躍推進パッケージ」をご紹介しました。
女性活躍が佐久市の新たな卓越性となり、一層選ばれるまちとなれるよう、そして、これからも自分らしく輝ける社会の実現を目指し、市民一人ひとりが主役となり暮らしていけるよう、各種施策に取り組んでまいります。









