県政NOW
2026年2・3月号

たかが事務用品、されど事務用品 ~長野県庁の事務用品集約プロジェクトの取組~

  • 長野県会計局契約・検査課
  • 長野県

事務用品は、業務の効率化や生産性を向上させるため、オフィスにおいてなくてはならない存在で、単なる消耗品ではありません。その種類は、筆記用具、ファイル・収納用品、紙製品、印鑑関連、事務機器など非常に多岐にわたり、膨大な数になります。ある雑誌の記事によると、オフィスで使用する事務用品は、数百種類以上が考えられるそうです。

そんな事務用品に係る調達、在庫管理から配架までの県庁舎内における小さなルール作り、職員の意識改革に取り組んだ過程を振り返り、紹介させていただきます。

取組のきっかけ

長野県庁では、事務用品を購入する場合、各所属が直接業者から購入する場合もありますが、日常的に使用する事務用品は、会計局契約・検査課がとりまとめて、「一括購入」を行っています。

令和5年度までの一括購入における事務用品は9種類約250品目。購入までの事務処理は、①契約・検査課から一括購入数量を各部局(24部署)へ照会、②部局ごとに所管する課(1~10課)の購入数量をとりまとめ、③各部局から契約・検査課へ発注数量報告、④契約・検査課で一括発注、⑤受注業者から各部局へ納品、⑥各所属の支払いとなります。この事務処理を各所属の経理や庶務担当者がそれぞれに同じことを行う仕組みでした。(図1のとおり)

図1

また、購入した事務用品は、各所属で所有する倉庫に保管し、事務用品が不足しないように在庫管理を行っていたため、ペーパレス・DX化の推進により使用頻度の低い事務用品を抱え込んでいるという実態が見受けられるようになりました。

このような状況の中、業務過多を解消し、明るく・楽しく・前向きに働き、従来の組織風土を改革する「かえるプロジェクト」(通称:かえプロ)という取組が令和5年度から始まり、事務用品の購入に係る事務処理や在庫管理の負担を軽減するため、県庁内で事務用品の発注から在庫管理までを一括して担うことについて職員から提案がありました。この提案を実現させるため、各所属の予算を集約し、在庫管理の一元化に取り組む「業務集約プロジェクト」が立ち上がりました。

発注から在庫管理まで最適な業務プロセスを構築することをミッションに掲げ、「事務用品に係る職員の業務負担が軽減」、「倉庫スペース等の有効活用」、「職員が事務用品の利用を前提としない働き方へシフト」を目指したプロジェクトの取組が令和6年度からスタートしました。

取組内容

(1)令和6年度の取組

まず初めの取組として、事務用品を発注から在庫管理まで一つの課に集約するためには、事務用品を購入する予算を集める「予算集約」と事務用品を調達、保管管理する「物理集約・在庫管理」の双方の検討が必要であることから、コンプライアンス・行政経営課長がプロジェクトリーダーとなり関係課でチームを編成し、検討を開始しました。

「予算集約チーム」では、財政課と部局経理担当者が構成員となり、今まで所属で計上していた事務用品購入に係る予算の集約方法についての検討や、経理担当者へ購入事務用品の管理方法を確認するなど、購入に係る財源調整等の検討を重ねました。

また、「物理集約・在庫管理チーム」では、庁舎管理を行う財産活用課、物品の調達を行う契約・検査課、人員配置を行う人事課が構成員となり、各所属で管理する在庫物品の集約とその管理について検討を行いました。

検討の結果、令和7年度からプロジェクトリーダーを契約・検査課長とし、事務用品に係る購入経費については、一般財源のみ(※何かに紐づいている予算は後々行われる会計検査で繁雑になってしまうことや決算期のとりまとめなど集約担当課に負担がかかることを懸念して特定財源は対象外)を契約・検査課へ集約することとしました。そして、会議室の一つを集中倉庫とし、各所属で保管していた事務用品を搬入して、調達から物品管理までを一括して契約・検査課で行うこととし、事務用品棚への配架は、会計年度任用職員を雇用して行う仕組みとしました。(図2、3のとおり)

図2
図3

これにより、各所属は事務用品に係る在庫管理や購入に係る事務負担が軽減されることになりました。一方で、契約・検査課では物品管理及び配架に係る負担は増えましたが、会計年度任用職員を雇用し担い手となって業務を行うことで急激な事務負担の増加は防げています。

仕組みが出来上がったところで、令和6年度中は、建設部の在庫の一部を集中倉庫へ搬入し、オフィス改革(職場の風通しが良く、職員が仕事をしやすい環境を整備)を先行して進めていた総務部、産業労働部で事務用品棚(後の「ステーショナリーラック」)での配架を試みました。配架品目については、若手職員が主体となって検討を行い、使用頻度や利便性を考え72品目を決定。当初、新たな事務用品の運用方法への戸惑いはありましたが、使用方法等について地道に説明を重ね、見直しながら、令和7年度の本格運用に至りました。

(2)令和7年度の取組

かえプロは、年度ごとに目標を設定し取組を行っています。

令和6年度は、「前半に県庁事務用品を集中倉庫に集約、ペーパレス前提に発注数量20%減!(R5年度比)」という目標を立てましたが、わずかなところで目標を達成できませんでした。

ステーショナリーラック

そこで、令和7年度では、「年度当初に県庁事務用品を集中倉庫に集約、年間を通じた発注抑制により、事務用品に係る経費20%減!(R5年度比)」を掲げ取り組むこととしました。

まず、事務用品棚「ステーショナリーラック」を本館棟の1~8階の全フロアに1台ずつ、議会棟、西庁舎にそれぞれ1台ずつの計10台を設置し、共通事務用品の新たな調達・管理の仕組みをスタートさせることとしました。運用には、各所属が保管している事務用品の集中倉庫への集約や、使用方法などの説明が必要となるため、5月に各主管課の経理や庶務の事務担当者への説明会を開催するとともに、配架物品である84品目の事務用品を集中倉庫へ搬入しました。搬入に当たっては、部局ごとに時間を割り振り、各所属の職員が決められた時間、場所へ運び入れ、その後、契約・検査課のほぼ全職員が搬入した個々の事務用品の数量を数え、その後の配架数量のデータ分析の元データとしました。搬入していただいた各所属のみなさんや契約・検査課職員の担当業務の枠を超えた協力が、何よりも有難く感じました。

そして、いよいよ6月から「ステーショナリーラック」の本格運用となりました。配架の担当は、会計年度任用職員として4月から勤務するA事務員です。今年度は、ステーショナリーラックの運用状況を細かく分析するため、配架数量のデータはもちろん、各ステーショナリーラックの使用状況を使用簿で管理し、そのデータ収集もA事務員が担います。ステーショナリーラックへの配架は本館棟の奇数階と西庁舎、本館棟の偶数階と議会棟の2つに分け、毎日(一つのラックは隔日ごと確認)確認を行うこととしました。A事務員はその大変な業務を毎日続け、必要なデータを蓄積しています。

集中倉庫(県庁西庁舎107号会議室)

また、契約・検査課の担当職員は年4回の一括購入の方法について、品目の選定、発注のとりまとめや支払方法などパターンを変えて、より効率の良い仕組みを検討しながら最適な調達方法を模索しました。品目は、職員からの希望が多かった物に絞込み、約250品目から84品目まで縮小するなどの対応を行った結果、年度当初に掲げた事務用品に係る経費20%減の目標は達成することができそうです。

ところが、運用を開始して直ぐに課題が表れてきました。

まず、ステーショナリーラックにある使用簿への記入がないこと。これでは、各ラックの使用状況を把握できないばかりか、分析など到底できません。もちろん手書の使用簿では書いてくれないことはある程度は予測していたものの、これほど多いかと思う事態に。また、使用簿用のボールペンが頻繁になくなってしまったり、配架した事務用品を各所属で保管するためにごっそり持っていくという事例も発生しました。また、ステーショナリーラックをゴミ箱として扱う等々、モラルが疑われる事態も見られました。

それでも、大量に使用する場合は、契約・検査課に相談することをしっかり守ってくれたり、在庫がなくなったら丁寧に連絡してくれる職員がいたり、職員の中にはA事務員から聞いた事務用品の使用方法を張り紙で知らせてくれるといった大変有難い職員もいました。この取組は、開始当初から日々一喜一憂している感覚です。

たかが事務用品、されど事務用品。職員にとって良い意味でも、悪い意味でも、事務用品が仕事の大きな役割を果たしている事を再認識しているようです。

運用から2ヵ月半が過ぎたころで、職員アンケートを実施しました。対象職員に対して26%の回答と少ない回答数ではありましたが、「在庫管理や事務手続き等の事務が改善された。」、「便利・事務用品の使い方の意識が高まった。」などの効果が見える回答をいただきました。また、「スピーディーな補充をしてほしい。」、「使用頻度の高い事務用品を配架してほしい。」など、具体的要望も多くいただき、改善が可能な意見は、これからの取組の参考とさせていただきます。

まとめ

かえプロでの進捗会議で取組状況を都度しっかりと報告できたことは、職員の皆さんのご協力があってのことです。

この事務用品の集約は、オフィス改革が進むにつれ、また、ペーパレス等で働き方が変わってくると、より取組を行った利点が見えてくると思っています。事務用品の調達は、一括購入していくことで経費削減に繋がりますし、職員の人数が年々減少している中で、これからを担う職員にとっても業務量の負担軽減は何よりの成果であると考えます。

そのためにも、まだ課題となっている集中倉庫へ集約していない事務用品の取扱い方法や、職員からの意見を反映した配架品目の見直し、適正在庫数の把握など、課題も多くありますが、職員により良い方法で事務用品を届けられるよう、これからも更に効率的な方法を探っていきたいと思います。